【界面活性剤不使用の洗顔料を探している人必見!】理想の洗顔料が見つからない2つの理由を解説

- 界面活性剤フリーの洗顔料がほしい
- 肌に良くない成分だから、入っていないものを使いたい
- 界面活性剤フリーの洗顔料について教えて!
長い間、肌トラブルに悩まされてきた人なら、肌によくない成分が入った洗顔料は避けたいと思うものです。
界面活性剤がどういった目的を持った成分か知らずに、肌に悪いと決めつけるのはやめましょう。
あなたの肌にあった洗顔料に出会える機会を減らしています。
この記事では、界面活性剤の働きから肌に与える影響についてを解説します。
肌トラブルに悩まされない日々を送るなら、洗顔料の主成分である界面活性剤を知りましょう。記事を読んで、あなたの肌にあった洗顔料選びを始めてください。
洗顔料に界面活性剤が含まれるのは、『洗浄成分』、『各成分のつなぎ役』としての役割があるからです。界面活性剤は数千種類あるといわれており、肌への刺激が強いものがあります。どういったものを避けるべきか確認していきましょう。
参考文献
- 酒井裕二(1999年):理想的な洗顏料の開発「日本化粧品技術者会誌33巻2号 p. 109-118」
- 柿澤恭史(2018年):洗浄料とその作用「日本香粧品学会誌42巻4号」
- 近藤行成(2022年):界面-界面活性剤の種類とはたらき-「オレオサイエンス22巻9号」
- 齋藤俊和(2021年):界面活性剤の基礎-セッケンと合成洗剤-「化学と教育69巻4号」
- 喜多久博(1958年):両面界面活性剤について「紙パ技協誌12巻7号」
- 辻井薫(1980年):両面界面活性剤-その特異な物性-「油化学29巻8号」
界面活性剤フリーの洗顔料がないのは3つのバランスを保てないから

界面活性剤が使われていない洗顔料はありません。洗顔料の目的を果たせなくなるからです。
洗顔料の目的は、肌についた汚れを落とし、すこやかな状態に保つこと。そのためには、次の3つの成分が必要になります。
- 洗浄成分
- 保湿成分
- 整肌成分
界面活性剤が使われない洗顔料というのは、肌をすこやかな状態に保つための成分を配合できていない洗顔料と思ってください。

この3つのバランスを保つのに、界面活性剤が必要なのです。
界面活性剤は主洗浄成分として使われる
洗顔料には洗浄力が欠かせません。洗顔料の主洗浄成分として界面活性剤がよく使われます。
代表例は石けん。泡立ちもよく、汚れが落ちる理由は、高級脂肪酸を主洗浄成分とする界面活性剤を配合しているからです。
とはいえ界面活性剤以外のものを主洗浄成分とする洗顔料もあります。
- 酵素
- 泥
- 炭
- スクラブ
- 海藻 など
そのため主洗浄成に界面活性剤が使われていない洗顔料を選ぶことはできるのです。

肌に悪いと言われている界面活性剤は、合成界面活性剤を指していることが多いです。肌への刺激が強い成分があるので、敏感肌の人は避けるのが無難です。
界面活性剤は各成分のつなぎ役
洗顔料は10~60種類もの成分を混ぜ合わせて作られます。これらをひとつにする役割を担うのが界面活性剤です。
水と油のように本来混ざり合わないものでも、界面活性剤を使うと、ひとつにすることができます。

界面活性剤は水になじむ部分(親水基)と脂になじむ部分(親油基)を持っています。この構造により、さまざまな物質をひとつにすることができます。

より詳しく知りたい人は『界面活性剤が汚れを落とす4つのメカニズム』を見てください。
界面活性剤を使わない洗顔料とは、配合できる成分がとても少ない洗顔料ということになります。
界面活性剤は4つに分類できる

界面活性剤は、水になじみやすい部分(親水基)と、脂になじみやすい部分(親油基)を持った物質だとお伝えしました。
界面活性剤は、親水基の種類により以下の4つに分けられます。
イオン性界面活性剤 | 非イオン性界面活性剤 | |||||
アニオン性界面活性剤 | カチオン性界面活性剤 | 両性界面活性剤 | ノニオン性界面活性剤 | |||
水中での性質 | 陰イオンになる | 陽イオンになる | アニオン性、カチオン性、中性になる | イオンに解離しない | ||
特 徴 | ・洗浄力が高い ・泡立ちが良い ・カチオン性と一緒に使用できない ・耐硬水性が低い | ・殺菌性が高い ・アニオン性と一緒に使用すると機能を発揮しない ・様々な表面に吸着しやすい ・帯電防止がある ・柔軟効果がある ・洗浄、乳化、可溶化効果がある | ・補助剤として使われることが多い ・他種類の界面活性剤とよく相溶する ・溶液のphによってイオン性を変化させる ・耐硬水性が高い ・皮膚刺激性や目刺激性が一般に低い ・泡の安定化、泡質の向上 | ・親水基と親油基のバランス調整が簡単 ・他種類の界面活性剤とよく相溶する ・耐硬水性が高く、電解質水溶液中でも使用可能 ・皮膚刺激性や目刺激性が一般に低い | ||
親 水 基 | ・硫酸エステル塩型 ・スルホン酸塩型 ・カルボン酸塩型 ・リン酸エステル塩型 など | ・アミン塩型 ・四級アンモニウム塩型 ・イミダゾリウム型 ・ピリジニウム塩型 など | ・アミノ酸型 ・ベタイン型 ・アミンオキシド型 など | ・ポリオキシエチレン型 ・多価アルコール型 ・シュ糖エステル型 など | ||
製 品 | 洗顔料、石鹸、台所用洗剤 | コンディショナー、トリートメント、柔軟剤、殺菌剤 | シャンプー、洗顔料、ベビーソープ | 洗顔料、化粧品、台所用洗剤、食品添加物 |
このうち洗顔料に使われるのは、以下の3つ。
- アニオン性界面活性剤
- 両性界面活性剤
- ノニオン性界面活性剤
この3つの組み合わせ方によって洗顔料の特徴が決まります。

1種類の界面活性剤だけでは充分な効果が得られないことも。複数の界面活性剤を組み合わせている製品がほとんどです。
アニオン性界面活性剤
洗顔料だけでなく、石鹸やシャンプー、ボディーソープに使われます。洗浄力が高く泡立ちが良いからです。
殺菌効果に欠けるため、台所用洗剤として活用する場合は、両性界面活性剤と一緒に活用されます。
水に溶解したとき、親水基がアニオン(陰イオン)に解離する界面活性剤です。
カチオン性界面活性剤
洗顔料には不向きな界面活性剤です。肌への刺激が強く、洗浄性に欠けているからです。
一方で殺菌作用、帯電防止、柔軟効果があるので、コンディショナーや柔軟剤、殺菌剤に使われます。

帯電防止作用がある界面活性剤。
水に溶解したとき、親水基がカチオン(陽イオン)に解離する界面活性剤。
両性界面活性剤
アニオン性活性剤とカチオン性活性剤の特性をもっている界面活性剤。溶液のphによってイオン性が変化するため、イオン性界面活性剤のなかでも刺激性が低いのです。
刺激性が少ない優れた界面活性剤です。価格が高いこともあり、洗浄成分の主剤ではなく、補助剤として使われます。
アニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤は両極のイオン性を示すため一緒に使用できません。両性界面活性剤なら、どちらとも組み合わせて使用できます。
ノニオン性界面活性剤
イオン性界面活性剤より、刺激性が少ない界面活性剤。水に溶解したときにイオン性を示さないからです。
洗浄力が弱いのはメリットでもあります。高すぎる洗浄力は刺激性を高めるだけでなく、必要な脂まで洗い流してしまうからです。
肌への刺激が強い界面活性剤に注意しよう

洗顔料に使われる界面活性剤は次の3つ。洗浄力や保湿力を発揮するために使われます。
- アニオン性界面活性剤(洗浄成分)
- 両性界面活性剤(つなぎ役)
- ノニオン性界面活性剤(つなぎ役)
注意しておきたいのはアニオン性界面活性剤。肌への刺激が強い成分があります。敏感肌の人や、洗い過ぎが原因の肌トラブルが減らない人は覚えておきましょう。
つなぎ役としての界面活性剤は、肌への刺激性が低いものがほとんど。もっとも注意すべきは洗浄成分です。
高級脂肪酸
高級脂肪酸は石けんに使われることが多い界面活性剤です。肌に優しいイメージがある石けんですが、洗浄成分には肌への刺激が強いものを採用していることがあります。
一般的に次の順番で肌への刺激(スティンギング)が高くなるとされています。
ステアリン酸⇒パルミチン酸⇒ミリスチン酸⇒ラウリン酸

スティンギングとは、肌がチクチクしたり、ヒリヒリすることです。
なかでもラウリン酸カリウムがもっともスティンギングが強いとされています。洗顔料によってはラウリン酸フリーを表記しているものもあるほどです。
とはいえ洗顔料の成分表記をみても、界面活性剤と書かれているものはありません。高級脂肪酸であれば、以下のように組み合わせることで界面活性剤になります。
- ラウリン酸+水酸化カリウム
- パルミチン酸+水酸化ナトリウム
- ステアリン酸+水酸化カリウム
洗顔料の成分表示にはルールがある

化粧品には以下のルールが設けられています。配合成分をただ並べているだけではありません。
- 配合量の多い順番に記載する
- 1%以下の配合成分の記載順序は自由にしていい
- 着色剤は配合量の大小にかかわらず最後にまとめる
ちなみに、医薬部外品と明記されているものは成分表示のルールがことなります。
これを覚えておくだけで、肌への刺激が弱い洗顔料選びが格段にうまくなります。実際に洗顔料を選ぶときは以下のように確認していきます。


この洗顔料なら、刺激が弱いとされているステアリン酸とミリスチン酸、パルミチン酸に水酸化カリウムを組み合わせているな!となります。(ラウリン酸は配合していない)
このルールを知らずに肌に優しい洗顔料を選ぶことはできません。製品やパッケージの裏面に書かれていることが多いので、刺激が強いものがないか確認してみましょう。

いつもの洗顔料が肌に合っていないと感じるなら、あなたの肌にあわない界面活性剤があるという判断ができます。
界面活性剤フリーの洗顔料探しはやめよう

洗顔料に界面活性剤が欠かせない理由について解説しました。すべての界面活性剤が肌に悪いわけではなく、刺激が強い成分があるというだけです。

洗浄成分として使われる界面活性剤(高級脂肪酸+水酸化K(Na))には刺激が強いものがあります。
化粧品の成分表示のルールを知っていると、界面活性剤の役割が分かるだけでなく、肌に合わない成分を見極められるようになります。
化粧品表示ルールは以下の3つです。
- 配合量の多い順番に記載する
- 1%以下の配合成分の記載順序は自由にしていい
- 着色剤は配合量の大小にかかわらず最後にまとめる
どのような成分が自分に合っていないか分からない人は、今使っている洗顔料の成分表示を確認しましょう。うえから10個くらいの成分に目を通してみてください。
それでも分からないという人は、界面活性剤を主洗浄成分としていない洗顔料(酵素洗顔など)を選びましょう。
あなたの肌にあった洗顔料を選んで、肌トラブルを減らしたいのであれば、界面活性剤を知ることはかなり重要です。
まだ一度も、成分表示を見たことがない人は、当記事を参考にあなたに合った洗顔料選びを始めてみてください。

最後に界面活性剤が汚れを落とすメカニズムを解説しています。より詳しく知りたい人は是非最後まで読んでみてください。
界面活性剤が汚れを落とす4つのメカニズム

界面活性剤が汚れ(脂)を落とすメカニズムは次の4つ。順番に見ていきましょう。
- 吸着作用
- 浸透作用
- ぬれ作用
- 乳化作用
吸着作用

汚れ(油)の表面に界面活性剤が吸着していきます。界面活性剤の親油基は脂になじみやすい部分なので、親油基が汚れ、親水基が水に向かって配置されます。
図解の界面活性剤は球状になっています。これはミセルと呼ばれるもので、ある一定の温度(クラフト点)になると界面活性剤は球状になり、より高い洗浄効果を発揮します。
水温がクラフト点に達していない場合は、界面活性剤は個々にバラけた形状となります。

イメージしやすいのは食器用洗剤。油汚れを落とすとき、水ではなくお湯を使いますよね。これはクラフト点に達することで、より界面活性剤の働きが活発になるからです。

台所洗剤と洗顔料では界面活性剤の種類がちがいます。求める効果が違ってくるからです。
浸透作用

吸着した界面活性剤は汚れに浸透します。界面活性剤は汚れの界面に働きかけるからです。
界面活性剤は界面張力を低下させます。これにより皮膚と汚れの隙間に浸透しやすくなるのです。

これをぬれ性ともいいます。ぬれやすくなると、皮膚と汚れ(油)の状態がどんどん変化していきます。
ぬれ作用

ぬれ作用は皮膚から汚れを分離させます。皮膚と汚れ、水の関係性を変化させるからです。
ローリングアップ現象は汚れを落とす大切な働きです。この記事ではこれ以上は解説しませんが、仕組みを知りたい方は参考文献④を確認してください。
乳化作用

引きはがされた汚れを界面活性剤が取り囲みます。これにより洗い流された汚れ(油)は水中でも安定した状態を保つことができます。
親油基が汚れ(油)に吸着し、親水基は汚れ(油)の表面を取り囲むように配置されるからです。
この働きにより、洗い流した汚れが肌に再付着するのを防ぎます。

ミセルとは界面活性剤が親油基を内側、親水基を外側にして球体となること。